稲川さん「要らない命は無い」
- 2015/2/7
- 尾道のニュース
尾道市と尾道市教育委員会、福山・尾道地域人権啓発活動ネットワーク協議会が主催する、第27回「いのち・愛・おのみち」人権講演会が7日午後、しまなみ交流館で開かれ市民ら約450名が参加しました。講師はタレント・工業デザイナー・怪談家と幅広く活躍する稲川淳二さんで、現代社会の中で希薄になってきている思いやりや助け合いの大切さなどを自身の体験を交えながら語りました。後半では重い障害を持って生まれてきた次男のことに触れ、障害児を育てることの不安や次男の将来を悲観し、「どうせ長く生きられないのなら自分で殺してしまおうか」と考え、実行しそうになったことを告白。その後も次男の存在を受け入れることが出来ないまま、生後4か月で次男は手術を受ることに。半日にも及ぶ手術が無事に終わり、ベッドに横たわる次男が出てきた時、全身に包帯を巻かれ手足には何本ものチューブが繋がれている状態で、それでも必死で呼吸をしてる姿を見て「自分はなんて最低なことを考えていたんだ。この子はこんな小さな体でたった一人で病気と闘っている。必死で生きようとしている。それなのに自分は、子どもが一人いて幸せだから、もう一人いればもっと幸せだろうと、自分の都合で子どもを欲しがり、いざ生まれてきて障害があると分かったとたんに、無かったことにしたいなんて、自分の都合ばかり考えていた」と後悔し、その時初めて次男の名前を呼び、「お前の父ちゃんだぞ」と何度も叫んだ。この時初めて次男を我が子と受け入れることが出来たというエピソードを懺悔するかのように涙ながらに語りました。最後に「この世の中に、要らない命は無い」と繰り返し訴え講演を締めくくました。